危険なアイツと結婚生活






「……でーすーよーね……」




嗚咽とともに声がする。

振り返ると、中山がデスクに座ったまま泣いていて。

ティッシュを取り出して鼻をかむ。

中山は戸崎がいなくなってからこんな状態だ。

仕事になっていない。

広げられた図面は、涙でぐしゃぐしゃになっていた。







「と……戸崎さんがここにいたのは奇跡です。

本当は、会ってはいけない人だった。

俺はただのファンで良かったんです!」





ただのファンか……。

そうだよな、この前のライブもすごかった。

鳥肌がたった。

泣きそうだった。

そして、男の俺が見惚れるほどカッコよかった。

俺たちと同じように仕事をして、あのステージに立てるなんて。

戸崎には才能がある。

こんな会社にいる必要はないんだ。