ライブは終わり、アンコールの拍手が響く。
胸の高鳴りは止まらない。
残り少し、だけど、まだまだFを堪能出来る。
ステージが再び明るくなり、それぞれが定位置に着く。
……といっても、いつものそれとは違う。
ドラムの艶、
ギターの酙、
ベースの碧、
そしてボーカルの玄。
思わぬ登場の仕方に驚く人々。
そして、アリーナが揺れるような歓声に包まれる。
そのパフォーマンスは完璧で、やっぱり心をぐいっと掴まれて。
思わぬ玄コールが響くなか、あたしはやっぱり彼から目が離せない。
いつも近くにいるけど、時々すごく遠い存在になる。
それを不安に思ったり嫉妬したりもするけど、やっぱりあたしは彼が大好き。
……大丈夫。
きっと、今日も抱きしめてくれる。
いつもの笑顔で、ただいまと言って。