蒼のいなくなった部屋は、がらーんとして物寂しかった。
優弥さんの言いつけかもしれない。
部屋からはテレビが撤去されていた。
そして、蒼の携帯も没収されていた。
あたしの携帯は取り上げられなかったが、敢えて見る気にもならなかった。
あの騒動のあと、事態がどう収まったのかは分からない。
だけど、優弥さんはきっとやってくれた。
だって、優弥さんは厳しいけど、蒼を裏切ったことはない。
紅さんの到着まで、あたしはソファーに座って色んなことを考えていた。
そして、とうとう……
「唯ちゃん、お待たせ」
少し心配そうな顔の紅さんが、扉の向こうに立っていた。