東京都の外れにあるそのホテルは、大きくて豪華だった。
吹き抜けのロビーに、大きなシャンデリア。
俯き加減で歩く蒼の手を、ぎゅっと握った。
手を離すと蒼が逃げていきそうだったから。
もう二度と会えない気がしたから。
考えるだけで震えが襲う。
あのまま、蒼と会えなくなっていたら……
二度とあたしの名を呼んでもらえなくて、ただCDやライブでだけ会えて……
あたしの心は粉々になっていただろう。
立ち直ることなんて出来なかっただろう。
だけどね、ふと思う。
こうやって蒼がいるのも夢じゃないか。
気付いたら、また蒼と離れ離れになっていて……
「唯ちゃん」
蒼の声で我に返った。
気付いたら、あたしはホテルの一室に入っていて。
ただボーッと突っ立っていた。



