賢一はあたしを抱いたまま、消えそうな声であたしだけに告げる。
「信じろよ。
蒼は何もしてねぇよ」
……え?
「一番分かってるのは、唯だろ?」
……そうだよね。
ずっと信じてた。
あたし、何踊らされてるの?
こういう時にこそ、信じなきゃ。
周りが敵だらけの蒼の味方に、あたしは絶対なれる。
「唯、帰るか?」
わざとらしく聞いた賢一に、
「聞く」
しっかりと答えた。
「蒼のしたこと、全て聞く」
賢一は少し笑い、あたしを蒼の隣に下ろしてくれる。
蒼は何か言いたげな目で賢一を見たが、すぐに視線を下ろした。
信じなきゃ。
信じないといけないと思っていたのに、いつの間にか流されていた。
あたしが蒼を信じなきゃ、誰が蒼を信じるの?
……いや、みんな信じているんだ。
賢一も、優弥さんも、慎吾も。
それなのにあたしは、蒼を疑ってばかりいた。



