夜の住宅街を、バイクのライトが照らした。

そのライトに照らされて、雪がはらはらと舞っていた。

あたしは賢一の背中にしがみつき、寒さと辛さに震えていた。




賢一はどこに向かうんだろう。

だけど、きっとそこには蒼がいるんだ。

泣きそうな顔で、だけど必死に涙を堪えてあたしに真実を告げた蒼。

あたしはあんな蒼をもう見たくない。




だけど……

蒼がいなくなったら、生きる価値が見出せない。

好きで、好きで、好きで、信じてた人に、裏切られた。





今、この手を離したら、楽に逝けるかな。

だけど……

やっぱり怖い。

あたしは何も出来ないただの臆病者だ。