行く当てもなかった。
もちろん同僚のところなんて行けるはずもなく、みよちゃんも仕事中だ。
そして、Fのメンバーのところになんて行けるはずもなかった。
今頃あの三人は何を考えているのだろうか。
そんな考えすら頭に浮かばない。
あたしは、ただ自分のことで精一杯だった。
携帯が何度も震える。
蒼からだ、本当は不倫なんてしていないなんてメールだ、なんて期待したりした。
だけど、画面に映し出されるのは、両親や友達、そして紅さんだったりして。
申し訳ないけど、見る気にもならなくて。
無我夢中であたしは歩いた。
そして、たどり着いた場所……
「唯……大丈夫?」
心配そうな顔であたしを見たのは、大学時代からの親友の芽衣だった。