「蒼がそんなことするはずないじゃん!!」 「してしまったんだよ!!」 蒼はあたしを見て、顔をくしゃくしゃにした。 初めて見る、蒼のこんなに余裕のない顔。 声を荒げることなんて一度もなかったのに。 何が何だか分からない。 運命の悪戯は恐ろしい。 あれほど信じていたのに。 八年間も一緒にいたのに。 その愛情と信頼は、こんなにも脆いものだったんだ。 発作のように身体に震えが走る。 真っ白の頭で、ただ手元にあったバッグだけを掴み、 あたしは部屋を飛び出していた。