結局、パートチェンジをしたFの練習は、珍しく素人目にもガタガタだった。
昔、学祭でベースをしたことのある蒼。
あの時はすごく上手だと思っていた。
だけど、難しいFの曲では途中で投げ出してしまう始末。
賢一以外に唯一ドラムが出来るという優弥さん。
いつもメンバーに厳しく当たっているのに、優弥さんのドラムは抑揚がなくうるさいだけ。
そして、リードギターの慎吾はもはや手付かずの状態。
賢一はひたすら怒鳴るように歌うだけで、ギターには一切触れず。
終わった後、みんなが苦笑いをしてた。
これで諦めると思ったら、
「燃えるね」
なんて言い出すメンバー。
「不可能に挑戦するのが俺たちだからさぁ」
その言葉を聞いて、さすがFだと納得した。
今まで努力を重ねてきたメンバー。
こんなひたむきの姿勢だから、あの素晴らしい演奏を手に入れることが出来るんだね。