当の蒼といえば……
「唯ちゃん!」
久しぶりに行った優弥さんのスタジオで、いつものように笑顔で迎えてくれる蒼。
蒼が遠い存在に思えてここに来たけど、蒼はいつもの蒼で。
安心するあたしがいた。
そして、その手には慎吾のベースが握られていた。
よく見ると、いつもと全てが違っていた。
なぜかドラムセットには優弥さんが座り、慎吾は優弥さんのギターを触っている。
そして、賢一が蒼のギターをかけ、大声で何かを歌っていた。
「賢一、マジで耳障り」
慎吾が困ったように言う。
「うるせぇな!
慎吾こそ下手くそ。
……つーか、優弥ヤバくね?」
「ヤバい」
「ドラムっつーものは、ただ叩けばいいってもんじゃねぇ。
優弥がいつも言ってたんだろ?」
優弥さんは賢一を睨み、ちっと舌打ちする。
蒼と慎吾、賢一がパートを交換してふざけるのは分かるけど、優弥さんまで……
しかも、優弥さんはなかなか本気のようだ。



