ウィッグを外し、いつものナチュラルメイクに戻ったあたし。
この日のために買った水着の上に、ワンピースを着た。
そんなあたしの手を引き、何事もなかったかのように上機嫌に歩く蒼。
あたしはその横顔を見上げた。
「唯ちゃん?」
蒼はあたしの視線に気付いて立ち止まる。
視線がぶつかり、胸がきゅんと甘い音を立てる。
反則だね。
こうやって、蒼はあたしを離そうとしないから。
「唯ちゃん、楽しかったね」
ずるい。
その笑顔。
「これからは二人っきりだよ?」
うん、独り占めしたい。
その全てを。
「唯ちゃん、本物のモデルさんみたいだった」
冗談やめてよ。
「……ふふ。唯ちゃん真っ赤」
そう言って蒼はあたしの頬に手を当てる。
あたしの全身のドキドキが、その手から蒼に流れ込む。
いつまで経っても蒼には慣れないな。
いつもドキドキさせられて。
どんなにかっこよくても、ファンがいても、蒼はきっとあたしを好きでいてくれる。
あたしはそう信じている。
「蒼、大好き」
あたしの言葉に、蒼は太陽よりも眩しい笑顔をくれた。