撮影は意外にもスムーズに進んでいった。
緊張に震えていたあたしに出された注文はただ一つ。
照れたりせず、蒼を好きという気持ちをストレートに出すということ。
蒼は逆に色んな注文を付けられ、NGばかりで隆太に笑われていた。
「君、本当に演技下手だね」
「だから言ったでしょ?」
蒼は不機嫌な顔で隆太を見る。
だけど隆太は余裕だ。
「君が出るとやっぱりギャグにしか見えないよ」
一般的に見たらそうなのかもしれない。
だけど、あたしはその行動全てに狂わされているよ。
その笑顔を見るだけで、その手に触れるだけで、恋愛初心者みたいにドキドキする。
蒼で埋められていくんだよ。
蒼とトロピカルジュースを飲んだり、浜辺を歩いたり。
肩を寄せ合って笑いあって。
カメラが回っているのに、あたしの前にいるのはいつもの蒼で。
何だか嬉しくてホッとして。
気付いたらあたしも自然に笑っていた。



