そして……
「唯ちゃん!」
扉が開き、蒼が倒れるように部屋に入ってきた。
そんな蒼を見て、どきんとしてしまうあたし。
白色のタキシードに、髪をセットしてあるだけの、ごく普通の格好。
それでもやっぱりかっこよくて。
蒼の周りだけ輝いて見えて。
胸がきゅんとした。
「あぁ、唯ちゃん、やっぱ可愛い」
蒼はそう言ってあたしの手をぎゅっと握る。
それだけでいつものように鼓動が速くなり、身体が熱くなる。
その弱々しい笑顔を見ると、ぎゅっと抱きつきたくなる。
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