その間にも、隣室から蒼の叫び声と隆太の笑い声が響いてきた。
蒼は本当に大丈夫なのだろうか。
今やクールな碧は完全に崩壊しているし、MVに出るなんて。
「よし、完成」
そう言われて鏡を見たあたしは、
「わぁ……」
思わず声を上げていた。
白色のシンプルなエンパイアドレスに、ふわふわの髪の上の花冠。
メイクは決して濃いわけではないが、昔、紅さんにメイクをしてもらった時のような新鮮な感じがあった。
いつものフツーなあたしじゃなくて……
例えるなら天使。
まるであたしではないみたい。
「唯ちゃん、メイクで化けるよね」
ヘアメイクさんもそんなことを言っていた。