ー北野sideー






「あー、なんか戸崎に悪いことしたな」




俺はそう呟いた。

そんな俺の横で中山が鼻をすすった。






想像以上に贅沢な時間だった。

ファンとして、これ以上ないくらいに。

最近、馬鹿な戸崎しか見ていなかった。

Fの碧だということを忘れるほど。



だが……

やっぱりすごかった。

鳥肌物だった。

俺まで泣きそうで、中山と一緒にスタジオを飛び出してきたのだ。




俺の胸の中で、まだあの音楽が流れている。

ヤバい、俺も重症だ。