「違います……」
中山さんはやっとの思いで声を振り絞る。
「感動して。
……だって、ずっと憧れだった、Fの練習見れて……」
「中山……」
「艶が怒ってるとことか見ると、艶の自伝も本当だなんて思って……」
「……」
「戸崎さん……
俺、どうしたらいいか分かりません。
もう、胸が苦しくて、身体が震えて」
「中山」
蒼はそう言って、中山さんの肩をぽんぽんと叩く。
そして、いつもの優しい笑顔で言った。
「特別だよ」
ほらね。
蒼はやっぱりファンを裏切らない。
蒼の尊敬する馬鹿fiveのボーカリストがそうであったように。



