「自分ら、出待ちちゃうん?」
「いえ、ちょっと一休み……」
必死で言い訳するが、不覚にも彼の目に蒼が止まってしまう。
そして、
「自分、泣いてはるの?」
すかさず蒼に歩み寄る。
蒼は下を向いたまま、後退りした。
それでもやっぱり捕まってしまい、彼の手が蒼の肩に伸びる。
蒼はビクッと身体を動かし、さらに下を向いた。
これはまずい。
今となっては蒼の気持ち、痛いほどに分かる。
だって初めて蒼に会った時、あたしもパニックを起こしたから。
ファンってのは、そこまでのもの。
そこまで心の中に相手の存在を閉じ込めているもの。
だから、これ以上蒼に近付くのを止めさせようとして、
「そ……そっとしてあげてください。
彼、ライブに感動しているんです」
なんて言ったが……
それがかえって逆効果となってしまったのだ。



