その子と、一瞬だけ目があった。



前髪を、眉の上で綺麗に切りそろえてて、目がおっきくて、肌が白くて、

やば…



「(…………可愛い)」



見とれそうになっていたのにハッとした俺は、雨が降ってくる空を見上げた。



中学にも、可愛い子は沢山いると思うけど、そんなことどうでもよかった。


「(なにか、はなさないと…)」



焦って考えても、何も浮かんで来ない。



「雨、やまないね」


妙に緊張して、そんなことしか言えない俺。


あー、かっこわる…。


「へっ!?」



女のコは、まさか喋りかけられるなんて思ってなかったらしくて、凄い驚いた声を上げた。


空から目を逸らして、彼女の方をもう一度見る。


すると、大きな目をさらに大きくして、驚いた表情をしていた。


「(あ………、この目、かな…)」


そのこの表情は、予想以上に俺の心臓をキツく締め付けた。


今までその反応をしてきた誰よりも、その子の反応に傷ついた。


「雨、やまないよね」


あまり見られないように、目を伏せて小さく笑う。



「そ、そうだね」



彼女はまだ戸惑っているみたいだ。