***
「やばいやばいやばい〜!!」
完全に遅刻…
高崎と一緒に出かける日になり、さぁ準備をしよう、って
クローゼットの前に経って一時間半。
やっと服が決まったと思い、時計を見ると、
待ち合わせ時間の30分前。
お約束すぎて笑えないっつーの!
急いで家の戸締りを済ますと、バッグの中へと持ち物を突っ込み、玄関まで猛ダッシュ。
乱暴に靴を履いて、外に出ると
あたしの気持ちをそそのかすような曇り空だった。
蒸し蒸ししてて、暑い。
生ぬるい風が、焦りまくりのあたしの頬を撫でる。
こんなにも気持ちの悪い風、久しぶりかもしれない。
セットした髪の毛は、湿気で必要以上に絡まるし、
露出した肌が、暑さと汗のせいでペタペタする。
これだから夏は苦手なんだ。
毎日気持ち良く晴れてくれれば、こんな苦手になんかならないのに。
肺に入ってくる、湿った土の匂いのする空気にウンザリしたあたしは、ドアを勢い良く閉めた。
ガチャンッ、と大きい音が鳴り
さらにあたしのイライラを促進させる。
それに加えて、
バッグに入れたつもりの家の鍵が見当たらない。
こうなるくらいなら、
服なんか適当に選べば良かった!
「もうっ、何処よ!」
チッと舌打ちをして、ゴソゴソとカバンの中を漁る。
きっと誰かが見たら、
まるで仕事にでも遅刻しそうなキャリアウーマンみたいに見えちゃうのかな。
ま、高校生に見えないのは確かだ。
ーチャリン
と、音が聞こえて、足元を見れば
可愛いキーホルダーがついた家の鍵があたしの足のそばに落ちている。
「あった!」
手を伸ばして、拾おうとした時
ー ヴーヴー
ポケットに入れておいたケータイが震えた。
「(こんな時に朝から電話!?)」
家の鍵をかけながら、ケータイに応える。
「ーはい」
苛立ちが声に出てしまった、と気づいたのは言ってしまった後。
やってしまった、と
電話の相手に申し訳ない気持ちで、改めて言う。
「もしもし?」
誰からの電話なのか、画面も見ずに出たあたしが悪かったんだ。
『もしもし。ごめん、朝から。俺だけど』


