もう勘違いでも何でもいいよ!
とにかくあの男の視界から逃げ出したい。
あたしは走り出した。
この先はT字路になっていて、ちょっと行くとエリナの家がある。
そこまで走って行けば!
あたしが走り出すと、予想通り背後の足音もバタバタと足音を立ててあたしの後を追ってくる。
あたしの顔からサー…と血が引くのが分かった。
勘違い―――!じゃない!!
ターゲットはあたしだ!そのことに気づいたら
怖くて後ろを振り返ることなんてできない。
乱雑な足音に追われてあたしは無我夢中で走って、T字路に向かった。
あと少し!
あの角を曲がればっ!
はぁはぁっ!
息を切らして走ると、角の先で待ち構えていたのか、突如ぬっとあたしの前に黒い影が姿を現した。
い……
「いやぁーーーー!!!」
咄嗟のことで大声を挙げ、持っていたバッグを振り回すと
「痛たっ。リコさん!
俺です!」
聞き慣れた声がして、あたしが涙目になった目を上げると
目の前に
響輔さんが心配そうに眉を寄せて突っ立っていた。



