「お嬢!どうされやしたっ!!」


ドタバタ音が聞こえてきて、すぐに顔を出したのはマサタクコンビ。


どうやらあたしの怒鳴り声を聞きつけたようだ。


あたしたちは台所で抱き合ったままの状態で見つかり、マサタクコンビは目を開いてその場で固まっていた。


「お嬢!」


そのすぐ後に現れたキョウスケも驚きながら目を開いていて


普通なら


「ちょっと転びそうになったところをこいつが支えてくれたわけ~」てな具合でものすごい勢いで言い訳を考えてぱっと離れるのに、あたしはそうしたくなかった。


代わりに戒が


「朔羅さん……具合悪いみたいで―――」


とメガネの声音になってちょっと困ったように説明。


「お嬢………具合が悪いようでしたらお部屋に行きましょう」


とあたしを引きはがそうとしたのはキョウスケ。







「やだ!」





あたしはその手を乱暴に払い


「お前だって離れていくくせに!」


あたしはキョウスケにも怒鳴った。


手を払われたキョウスケはひたすらに困惑したように払われた手とあたしとを見比べる。


「お嬢……どうされたんですか…」


マサがひどく心配そうにあたしの元へ歩いてきてもあたしは戒の腰にぎゅっと抱き付いたまま離れようとはしなかった。


戒が小さくため息を漏らし



「もしかして、ちょっと酔っぱらってるのかもしれません。


僕、彼女を部屋へ連れていきます」



戒はそう締めくくった。