「何度も会おうとしたよ。
でも、会いに行けなかった。

段々、会おうとも思わなくなった」

「・・・会った方が良いよ。
トラウマになっているのなら、尚更行かないと。
一生会えなくなるよ」

「・・・うん。
今度行こうと思っている。
奈々子からも、何度も言われているから。

でもその前に」





その前に?








「郁美に聞いてほしい。
俺の・・・こと」

「・・・私で良ければ、聞くよ」

「郁美じゃなきゃ話さないよ」





少し笑いあった私たちは、静かになる。





「俺たちは幼馴染でね、昔からよく一緒に遊んでた。

正確に言えば、俺はあんまり遊べなかった。
遊んでいたのは、瑛士と奈々子だけ。

俺は医者から外で遊んではいけないってドクターストップかかっていたから。

でもあの2人はよく病室に来てくれた。
俺が良くなったら遊ぼうって、毎回帰り際には約束した。

まぁでも俺のドクターストップがなくなることは、中学卒業までなくて。
俺には遊んだ記憶、ないんだけどね・・・。

俺にある能力が出てきたのは、中学に入ってきてからだった・・・・」