つまりそれは・・・。




「事件の中身を知りたかっただけなの・・・?」

「そういうことになるね」



それだけのために・・・?

私に近づいたの・・・?




「知るためにはまず近づいて仲良くならなくちゃ。
それなのに郁美は冷たい態度とりやがってさ。
このままだと真相に辿り着けないからさ、俺は郁美に優しくしたの。

そうしたら郁美は簡単に俺に心を開いて、話してくれた。
沢山聞けたよ、事件の中身がね。

郁美から聞いた真実もあったしね。
これをマスコミとか新聞社に送りつけたら、俺はたちまち億万長者になれるかもな」



楽しそうに笑う榊くんの言うことは、真実なの・・・?




「ゴメンネ騙してて。
お詫びにマスコミとかに送りつけたりはしないから」

「・・・信じられないよ」

「なら信じなければ良い。
信じたいものだけ、信じれば良い」

「・・・さかっ・・・きくん・・・」



冷たい言葉に、涙が出てくる。

私・・・榊くんに出会って、何回泣いただろう?





「じゃあね、“玉井さん”」





玄関の扉が、静かに、閉まった。