「伊織君の好きな女の子って、誰なの?」 興味津々な様子で聞くと、伊織君は「うーん」と少し考えた後ニコッと笑った。 太陽みたいに眩しい笑み。 王子様のような伊織君の笑顔は、見る人を幸せにさせる。 「まだ、内緒。その時が来たら、ちゃんと教えてあげるから」 「本当に?あたし、伊織君の為なら絶対に協力するからね!」 「ありがとう、姫子」 伊織君がそっとあたしの頭を撫でる。 その時、近くの窓からスーッと風が吹き込んできた。