「ねぇねぇ、姫子と瀬戸先輩ってご近所さんなんだっけ?」 コソコソっと耳打ちするように尋ねるアカネに小さく頷く。 あたしと伊織君の家は道を挟んだ向かい側にある。 そのせいもあって、あたしと伊織君はまるで本当の兄妹のように育った。 一つ年上の伊織君はいつだって優しくて、頼れるお兄ちゃんだ。 それは、高校生になった今でも変わらない。 「よ~し、頑張るぞ~!!」 まずは苦手な数学から! 教科書を開いてノートに公式を写し、暗記しようとこころみる。