「遠慮しておく。レオ、もう行こう」


サトコさんはそう言うと、俺の手を掴んで歩き出した。


「おい、サトコ!!今から飲みにいかないか?」


すると、男性が歩き出したサトコさんに言葉を投げかけた。


ピタリとその場に立ち止るサトコさん。


「サトコさん、俺に気を遣わずに行って来れば?」


そんな心にもないことを強がって言ってみる。


いかせたくない。


本当はあんな奴のところにいかせたくない。


だけど、きっと……あいつは俺よりもずっと大人で頼りになるだろう。


悔しいけれど誰がどう見ても、サトコさんには俺よりもあの男の方がお似合いに見えるだろう。


バチッとサトコさんと視線が交わる。


「いかないよ。私はレオと一緒にいる」


サトコさんは少し伏し目になって首を横に振りそう言った。