「だけどね、伊織君も大切だったの。あたし、小さいころからずっと伊織君と一緒にいたし、伊織君はあたしにとって家族同然の存在だったから」
「あぁ」
「伊織君があたしのことを異性として見てるって知って、戸惑ったの。あたしは海星君が好きだったから。だけどね、伊織君……色々大変で……。あたしだけが海星君と幸せになっちゃいけないって思ったの」
今までの経緯を説明する。
海星君は特に表情を変えることなくあたしの話を聞いている。
「だけど……――」
あたしが伊織君に感じていた感情は、愛情ではなく同情だった。
それを、アカネに言われてようやく気が付いた。



