「なぁ、姫子」 「なぁに?」 「誰につけられたんだよ」 「何を……?」 「キスマーク。お前、ずっと絆創膏つけて隠してただろ?」 海星君はそっとあたしの首筋に指を這わせる。 「あっ……それは……ちょっとケガしちゃって……」 「バーカ。そんなところケガする奴なんていねぇよ」 数日前、伊織君に押し倒されたあの日、あたしの首筋には赤い跡が残っていた。 あの時、首筋に感じた痛みの原因はそれだった。 跡が消えるまで一時的に絆創膏で隠していたのに、海星君にはバレていたようだ。