「俺、先行くわ~。ごゆっくり~」 気を遣ってくれたのか、レオ君は店長と小林さんを追うようにスタッフルームに向かう。 店内に残されたあたしと海星君。 未だに泣きじゃくるあたしの頭を海星君は優しく撫でてくれる。 「お前さ、何で本当のこと言わなかったんだよ」 海星君はそう言うと、そっとあたしの体に腕を回した。 「……海星君は……知ってたの?」 「知ってた」 「そっか……」 海星君の胸の中は温かい。 あたしはそっと目を閉じた。