「何か問題ありました?」 海星君の登場にさっきまで怒りの表情を浮かべていた小林さんの表情が緩む。 「ううん、別に。ちょっと接客のポイントを教えていただけだから」 「もう教え終わりました?ちょっと、姫子借りてもいいっすか?」 「えぇ、もちろん!」 ニコッと眩しい笑顔を海星君に向ける小林さん。 あたしにはいつも冷めた目を向けるのに……。 「姫子、いくぞ」 内心ムッとしているあたしの腕を掴むと、海星君はゆっくり歩き出した。