「知ってるよ。姫子が一条君が好きだってこと」
伊織君が目の前にいる。
緊張が一気に高まる。
あたしはゴクリと唾を飲み込んだ。
「だけど、俺も姫子が好きなんだ。どうしようもないくらい、好きだ」
伊織君の声が震えている。
あたしは恐る恐る顔を上げた。
「どうしたら、忘れられんだろ?何度も諦めようとした。だけど、諦められない。姫子以外の女と遊んでも全然ダメなんだ」
「っ……」
喉の奥に言葉が張り付いてうまく声にならない。
目頭が熱くなって、唇が震える。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…