あたしは……きっと今から伊織君を傷付ける。
分かっているから、胸が痛い。
「何に対して謝ってんの?」
「あたし……伊織君のこと……男の人として見られない」
「ずっと俺のことお兄ちゃんだって思ってたから?」
「それもあると思う。だけど、一番の理由は他にあるの」
「一条君?」
「そう。あたしね、海星君が好き。海星君じゃなきゃダメなの」
胸が張り裂けてしまいそうなほど、痛い。
伊織君がどんな顔をしているのか見るのが恐くてずっと下を向いたままのあたし。
すると、伊織君はベッドから立ち上がってあたしの前に歩み寄った。



