「……――いくぞ」


あたしの腕を掴んだ海星君は、あたしの耳元でそっと囁くとそのまま歩き出す。


「え……?」


まさかの展開に頭がついていかない。


「か、海星君!?」


壇上とは真逆の方向に歩いていく海星君に声をかける。


やっぱり、嫌だったのかな……?


あたしと公認カップルになるなんて嫌だよね……。


そりゃ、逃げたくもなるよ。


「ちょっ、一条君!!綾瀬さん!!待って!!」


体育館を出ようとするあたし達を、壇上にいる司会の男の子が必死で呼び止める。


「キャー――!!海星君ーーー!!!」


辺りは騒然となり、女子の悲鳴にも似た声があちこちで上がる。


それを無視して海星君はあたしの腕を引いたまま体育館から出た。