「姫子はもうガキじゃないんで。アンタがそんなことしなくても大丈夫だから」


海星君はそう言うと、伊織君の手首をパっと乱暴に離した。


「ふぅん。まぁ確かに姫子はもうガキではないね。だけど、一条君にそんなこと言われる筋合いないんだけど?一条君と姫子って本当に付き合ってるわけじゃないんでしょ?」


「今日からちゃんと付き合うことにしたんで。幼なじみだかなんだか知らないけど、こいつに軽々しく触んなよ」


海星君の言葉に、伊織君は信じられないというような表情を浮かべてあたしを見る。


「……何だよ、それ。姫子、本当なの?本当に付き合い出したの?」


攻め立てるように言う伊織君。


な、何……この重苦しい空気は!!


海星君と伊織君の間に漂う張りつめた空気にびくびくしながらもコクッと頷く。