「ニヤニヤしやがって。気持ち悪ぃな。お前、さっきから俺になんて言って欲しいんだよ」
「き、気持ち悪いって!!そんな言い方しなくても」
海星君に甘いセリフを求めるのは無理があったか。
そういうキャラじゃないのは承知だったはず。
あぁ、だけど……一度でいいから言われてみたい。
『姫子、愛してる……』って。
低くてかすれた海星君の声でそんな甘いセリフを言われたら、あたし、多分本当に死んじゃう。
「ほら、早く寝ろ」
海星君はポンポンッとあたしの頭を優しく叩くと、ベッドから降りて床に座り込んだ。
ベッドに寄りかかるようにしてバイクの雑誌を読んでいる海星君。
その後ろ姿にすら胸が高鳴り、呼吸が苦しくなる。



