「だから、お前をここへ連れてきたくなかった。バイトだって本当はさせたくなかった。お前が他の奴に笑いかけてんのムカつくし」
あれれれ。
ぐるぐるぐるぐる。
頭が回る?目が回る?何だろう。
変な感じ。
頭の中に火が灯ったみたいにすっごく熱い。
どうしよう……。
立っていられないぐらい、頭が熱くて体が重たい。
「……――おい、姫子!!」
遠くの方で海星君の声がする。
『お前、顔良いし、男がほっとかないに決まってんだろ』
『だから、お前をここへ連れてきたくなかった』
『お前が他の奴に笑いかけてんのムカつくし』
ヤバい、あたし。幻覚と幻聴がひどい。
しかも、自分に都合のいいように脳内変換までしてるし!
そっか。そうだったんだ……――。
海星君の言葉は全部、幻聴かぁ……。
あたしの意識はスーッと遠くなっていった。