無口なカレとの甘い恋


「ご、ごめんなさい……」


渋々といった様子で男性客が出ていくと、店長があたしに駆け寄った。


「ごめんね、ちょっと助けに行くの遅かったね。だけど、海星が行ってくれてよかったよ」


「あのお客さん、このお店の常連さんだったのにあたしのせいで……本当にすみません」


申し訳なくなって謝ると、店長はニコッと笑って首を横に振った。


「いや、いいんだよ。実はさ、あの客が来る日って毎回物がなくなるんだよ」


「え?」


「前に試作品として俺が作った一点もののブレスレットを一つだけ店に並べておいたんだ。誰かが買ってくれるといいなって思ってたんだけど、その日の閉店時になくなってた」


「それで、どうしたんですか?」


「売れた形跡もないし、万引きされたんだろうなって思ってたら、その次の週にさっきの客が腕に巻いてきたんだ」


店長は呆れたように話す。