「わりぃ」
「い、い、いえいえ!!大丈夫です!!今のは事故みたいなものだし、どうせ服の上からだし!
ほらっ、感触もなかったでしょ?」
「いや、あった」
「えぇ!?」
普通は、『そうだな。一瞬だったし、感触なんて全然分からなかったよ~。あはははは~』って流すところなのに!!
面食らっているあたしに彼はもう一度、「悪かったな」と顔色一つ変えずに謝って、スタスタと歩き出した。
普通、男子なら女の子の胸を触っちゃったらもっとうろたえるものじゃないの!?
全然うろたえていない彼の様子から察するに、そういう経験がたくさんあるのかな……?
っていうことは、キスも……それ以上のことをした経験もあるってこと!?
す、すごすぎる!!
彼の大きな背中を目で追いながら、思った。
彼は一筋縄ではいかない……と。
その時のあたしの直感は正しかった。



