いつもニコニコしていて「姫子」と優しい声であたしの名前を呼ぶ伊織君。 どんなときだって、あたしを自分のことのように可愛がってくれた伊織君。 幼稚園、小中高、ずっと1つ年上のお兄ちゃんのような存在でどんなときだってあたしを守ってくれた伊織君。 「伊織君……?」 思わず顔を覗き込んで名前を呼ぶと、伊織君はハッと我に返ったようにふっと笑った。 「ていうか、まだ姫子に卒業してもらったら困るわ」 「えっ?」 「俺がまだ妹離れできてないから」 そう言うと、伊織君は再びあたしの頭を撫でた。