気が抜けた瞬間、くしゅっと 小さなくしゃみが出た。 「大丈夫?」 笑っていたタクトがこちらに心配そうな 視線を向けた。 ずるい。 馬鹿にしたかと思えば、微妙に優しくなるから。 私は一度身震いしてから、 羽織っていたブランケットをぎゅっと抱きしめた。 「ん、やっぱり山の上だとちょっと寒いね」 その瞬間、私はふと思いついた。 いつもタクトにドキドキさせられっぱなしだし、 たまには仕返ししてやろう。 そう思い、 タクトの後ろから 背中にぎゅっと抱きついた。