「……え? どうって、別に普通だけど」 「……そう」 返事は歯切れが悪くて、 どこか上の空だった。 私は話をそらしたくて、 時計を指さした。 「ねぇ、仕事の時間大丈夫?」 「あ、そろそろ行かないと。 じゃあ、戸締まりちゃんとしてね」 「はーい、行ってらっしゃい」 お母さんはまだ何か言いたそうだったけれど 迷った挙句、そのままパートに向かった。