「俺も、好き、すげー好き…

あんたに先に言われるなんてほんとカッコ悪い…

それでも好きだ

あんたに負けないくらい、あんたのことが好きだ…!」

佐野くんはぎゅーっと、痛いくらいに強く抱きしめる。

「俺を守ろうとして俺から離れたの?」

「うん」

「俺がいじめられないように?」

「うん…」

「ばかだな、ほんと、ばかなやつ…」

佐野くんは私の目を真っ直ぐ見据えた。

「俺はもう十分あんたに守られてる。

守るのは俺の役目だ。

いじめられたって平気だ。

俺にとって一番ツライのは、あんたがそばにいないことだから…

もう、離れたりなんかすんな」

「うん、うん…」

私は苦しいくらい嬉しくて、ボロボロと涙を流した。

「泣くなよ、ばか」

「さっきからばかしか言われてない…」

「あんたがばかなのが悪いんだ」

佐野くんは彼の額を私のそれに合わせた。

「好きだ、珠李…」

(名前で、呼んでくれた…)

「私も佐野くんのこと…」

「佐野くん?」

「ううん、

私も、悠梓くんのこと大好きっ」

私ははにかんでみせた。

「その顔反則」

「へ?」

意味を聞き返す前に私は唇を塞がれた。

彼と触れているその部分だけが温かい。

「俺の彼女になって」

「…うん!

私の彼氏になってくれる?」

「当たり前だろ、ばか」

私たちは引き寄せられるように、もう一度小さくキスをした。