声をくれた君に



教室には、私と高橋くんだけが残される。

「どうするんだよ…」

高橋くんも困っているみたいだった。

「だってお前、俺のこと好きなわけじゃないんだろ?」

私は遠慮がちに頷いた。

「あのチョコプリンだって、俺に作ったわけじゃなさそうだったしな」

(高橋くん、わかってたんだ…)

「なんつーか、ごめん

さすがにやりすぎた。

謝っても元に戻るわけじゃないけど」

高橋くんは気まずそうに目を逸らした。

(え…謝られた…)

クラスの誰かに謝られたのは始めてのことだ。

「…明日、ちゃんとやらねーと

あいつすげー怒ると思う、かなり面倒」

彼は呆れたようにため息をついた。

(佐野くんが言ってた、小田さんが怖いから一緒やってるっていうのは、本当なのかも)

「だから…」

彼は、明日やり過ごすための作戦を考えてくれた。


「ま、なんとかなるだろ。

お互いがんばろーぜ」

高橋くんはそう言って先に教室に戻って行く。

(もしかして、みんな高橋くんみたいに根はいい人なのかな…)

私が知ろうとしなかっただけで、私のまわりは、悪い人たちばかりじゃないのかもしれない。

そんなのんきなことを考えた。

(とりあえず、明日は作戦通りがんばろう…)

私もしばらくして教室に戻った。