声をくれた君に



「あのチョコ、ほんとに高橋に作ったのか?」

(え…?)

「ほんとに、あんたは高橋のことが好きなのか?」

佐野くんにだけは誤解されたくない。

だって私が本当に大好きなのは佐野くんだから。

でも、大好きだからこそ

本当のことが言えない。

(私はもう佐野くんとは関わらない)

何も反応しない私に、佐野くんは続けた。

「ただの俺の自惚れかもしれない。

でも、あんた

俺がチョコとプリンが好きなこと、よく知ってるだろ?

だから中身を見た瞬間、もしかしてほんとは俺に作ったんじゃないかって思った」

(そうだよ、その通りだよ…

佐野くんが大好きなチョコレート味のプリン

何度も何度も、練習したんだよ…)

佐野くんのことだから、すぐに私の心を読み取りってしまいそうで

私は読み取られまいと下を向き続けた。

「やっぱりただの自惚れなのか?

櫻田…」

佐野くんの視線を、痛いほど感じる。

でも、私は佐野くんの目なんて見れない。

佐野くんの目を見て嘘なんてつけない…

「櫻田、答えて…

俺の、自惚れなのか?」

(私は佐野くんを守るって決めたんだ)

私は下を向いたまま、その言葉に小さく頷いて見せた。

「櫻田…」