「別に仕返ししようとかそういうつもりはない。
あくまでもあんたへの嫌がらせを止めるためだか。
極力小田を傷つけないように気をつける。
だから、そんな顔するな」
彼は大きな手の平を、私の頭に優しく乗せた。
(そうだよね、佐野くんはそういう人だもん。
だから好きになったんだ…)
「つーか、あんたは優しすぎ。
ほんと、いいやつ」
そう言って頭に乗せた手でそのままヨシヨシと撫でた。
(でも、ちょっと前までの私だったらそんな風に考えられてたかな)
いじめるクラスの人たちを見て、くだらないとか、不愉快だとか思っていた私が
その張本人たちを心配している。
(佐野くんの優しいところが移ったのかな、なんて)
けれど、自分がどんどん変わっていることに気づいていた。
(全部全部、佐野くんのおかげだ。
私もいつか佐野くんのために何かしたい…)
漠然とそう思った。
それからその日、放課後まで特に何事もなく、家に向かって真っ直ぐ帰っていた。
帰り道、いつも町の商店街をくぐり抜けるのだが、私はふとあることに気付いた。
(なんか、全体的にピンク色…)
そして、ケーキ屋さんの前を通るときにその理由が判明した。
(バレンタインだ!)
今日は2月7日。
一週間後、バレンタインが控えていた。
