声をくれた君に



(そういえばこのパン、どこで食べるんだろう?)

どう考えても、教室には戻りづらい状況だ。

とりあえず佐野くんと一緒に歩いていると、彼が私を連れて来たのは屋上だった。

(屋上って立ち入り禁止のはずじゃ…)

「先生から特別に許可をもらった。

あんたがいじめられてるのを知って、先生も断れなかったらしい」

佐野くんは屋上のドアを閉めて鍵をかけた。

「俺たちだけの特権」

そう言って不敵に笑って見せた。

(いつも無表情なくせに、こういうときだけそういう表情見せるのズルイ…)

「そのへん座って食べるぞ」

佐野くんはあぐらをかいてプリンに手をかけた。

(いやいや、プリンは食後のデザートでしょ!)

「俺は先にプリンを食べる派なんだ、悪いか」

私は首をぶんぶんと横に振った。

「よし」

(よしって、私犬ですか!)