声をくれた君に



次に佐野くんが連れてきたのは購買だった。

「好きなの選んで。

俺はカレーパンと…」

(なるほど、お昼ごはんを買うのね。

でも財布は教室だし…)

「財布、教室に置いてきたんだろ?

俺がおごってやるから心配すんな」

(でもそれは申し訳ないし…)

「そのかわり、今度何かおごれよ」

佐野くんはそう言って小さく笑ってみせた。

(きっと私に気遣わせないように言ってくれたんだ。

佐野くんってほんとに私の心の中読めてるんじゃないかな、ふふっ)

私は遠慮なく好きなパンを買ってもらうことにした。

購買のおばちゃんにお金を払うと、佐野くんは私の買ったものに口を出した。

「あんた、甘いものしか選んでないな」

私が選んだのは、チョココルネにチョコメロンパン。

「チョコばっか」

(だって佐野くんが好きなの選べって言ったんだもん。

もしかして佐野くんはチョコ嫌いなのかな?)

「まー、俺もチョコ好きだけど」

(あ、好きなんだ…

そういえば私にチョコくれたことあったもんね)

佐野くんの手元を覗き込むと、カレーパンと焼きそばパン

そしてプリンがあった。

(え、プリン?!)

「おい、あんた今プリンをバカにしただろ」

(う、またばれてる。

プリン好きなのかな?)

「そうだよ、好きなんだよ」

(え、本当に心の中読み取られてる?!)

「言っとくけど、さすがに人の心の中は読み取れないから。

あんたがわかりやすいだけ」

(なるほど。

納得していいものかどうなのか…)

いまいち腑に落ちなかった。