声をくれた君に



佐野くんはひとまず私を保健室に連れて来た。

「誰もいない…

この辺のタオルとか適当に使うか」

佐野くんはタオルを手に取って、私をきれいにしてくれた。

「悪かった」

(あ、また謝ってる…)

「牛乳までかけられるとは思ってなかった。

ほんと、ごめ…」

私は佐野くんの口元に人差し指を当て、首を横に振った。

「謝るなってことか?」

私は頷いた。

「はあ、あんたには敵わないな」

佐野くんは苦笑した。

「つーかその行為は、いろいろマズイ」

彼は私から一歩後ろに下がった。

私は意味がよく分からなくて首を傾げた。

「ここ、どこだと思う?」

(保健室…じゃないの?)

不思議に思っていると、彼は再び私に近づいた。

今度はそのまま壁際まで追い詰める。

壁に手をつき、私を彼の腕の中に閉じ込めた。

「正解は、誰もいない保健室」

そう言って彼は私に顔を近づけた。

私は思わずぎゅっと目をつぶる。

すると、コツンとおでことおでこを合わせられた。

「はあ、危なかった。

次からはあんなことしないように、こんなんじゃ済まないから。

行くぞ」

彼は再び私の手を取り、保健室を出た。

(なんだったんだろう…

ていうか心臓、やばかった!

ドキドキじゃ済まされないくらい、なんか壊れてしまいそうだった…)

私はしばらく佐野くんの顔をまともに見ることができなかった。