1時間目が終わると、私はまたヘッドホンで耳を塞いだ。

そのまま黒板を消しに前に出る。

こうして私が耳を塞いでいる間も何か言われているのだろうか。

それとも私は誰の視界にも入っていないのだろうか。

その方がずっとマシだ。

好きの反対は嫌いではなく無関心だって言うけれど、

私にとっては関心を持たれないのが一番気が楽だ。

誰にも関心を持たれず、傷つくことなく、ただ静かに生きていたい。


黒板を消し終えて席に戻ると、すぐに次の授業の先生が入ってきた。

2時間目は国語。

「じゃあ号令」

「櫻田さんはやくー」

また隣で声がする。

(しつこい…)

私と同じことを思った人は、このクラスにひとりはいるはずだ。

それでもみんなはいつだって、こんなことで一丸となる。

「そうだぞー、櫻田はやくしろよー」

「早く早くー!」

私は唇を噛み締めた。

「こらこら、櫻田は声が出せないんだから」

やっと先生は笑いながら止めに入った。

「もー、先生のツッコミが遅いんですよ」

「俺にツッコミ求めんなよ、ハハッ」

(ほんと、この学校はダメな教師ばかり)

私は誰にもバレないように、そっとため息をついた。