声をくれた君に



その日の昼休み、私はいつものようにお弁当を広げていた。

隣にいる小田さんはかなり不機嫌そうに見えた。

(絶対さっきの数学のことだよね…

何されるかわかんない)

私は小さくため息をついた。

そしてはしを持ったとき、予想通り小田さんは私の前に立った。

「あんた、サイテー」

小田さんは私のお弁当を頭上に持ち上げた。

「櫻田さんのせいで私、怒られちゃったじゃない。

責任取ってよ」

以前、頭の上でお弁当をひっくり返されたことがフラッシュバックした。

思わずぎゅっと目をつぶる。

そして、記憶通りの、頭の上と首元に感じる、何とも言えない感触。

「ふふ、ごめんね、手がすべっちゃったの」

目を開けると、小田さんはまだ何か持っていた。

「これもあげる」

小田さんは売店で売られているビンに入った牛乳を頭の上でひっくり返した。

(ウソ…)

髪の毛から滴れる白色の液体。

私はその場から動けなくなった。

「ざまあみろ」

小田さんは満足そうに自分の席に座った。

(やっぱりだめだ…

もう、どうにもならない…)